ベルモット特集

ベルモットは白ワインをベースに、ニガヨモギを始めとしたハーブやスパイスなどを漬け込んでつくったフレーバードワインです。辛口のドライベルモットと甘口のスイートベルモットがあり、フランスではドライベルモット、イタリアではスイートベルモットが主流です。アルコール度数は14%~20%とワインより高いものもあり、カクテルの材料としても良く使われます。ロヴェロ家のベルモットは両方ともスイートベルモットです。

<ベルモットの製法>

<ベルモットの歴史>

ベルモットの歴史は大変古く、ギリシア時代の有名な医者であるヒポクラテスがワインにシナモンと蜂蜜を入れて患者に飲ませたのが起源とも言われています。ベルモットの語源を辿るとドイツでワインにニガヨモギを混ぜたものがベルムートWermut(ニガヨモギのドイツ語)と名づけられ、後にこれがラテン語に変わり、現在のベルモットになりました。ルネサンス期には東洋のスパイスが広く使われるようになり、シナモン、クローブ、ルバーブなど新しい材料がレシピに加えられていきました。15世紀中頃から、イタリアのピエモンテ地方は蒸留技術の鑑として地位が確立し始め、18世紀にはトリノから多くの有名な生産者が生まれ名が広まっていきました。そのおかげもあってか、ベルモットは薬用酒から食前酒と変わり始め、トリノの街中には工場や酒屋、薬局などが多くできました。トリノの街ではリキュール職人と菓子職人が彼らのために出来た大学”Università dei Confettieri e Liquoristi della Città di Torino”に入学し、この伝統をより栄えたものにするために勤勉に励みました。そうして新しいフレーバードワインのレシピを考案し、華やかな香りを放ち、アルコール度数も高くして、長期保存が可能な製品である瓶詰めされた「ベルモット ディ トリノ」が誕生しました。かつてイタリアのピエモンテ、フランス、フランス語圏スイスにまたがるサヴォワ一帯を支配していたサヴォイア家でもこれらのべルモットが愛飲、評価され「ベルモット ディ トリノ」はより世界的にも伝統を重んじた確固たる存在となりました。また、ベルモットに関するイタリアの法律は1933年11月に始まり、産地呼称制度を用いたフレーバードワインとしては初めて「ベルモット ディ トリノ」が認められ、今もなお保護され続けています。2000年代初頭にロヴェロ家の蒸留所で伝統的なピエモンテ州のベルモットと一般的なフレーバードワインの研究などが行われており、ロヴェロ家もベルモットの歴史と発展に貢献しています。

<ベルモットの赤と白の違いについて>

ワインに赤ワインや白ワインがあるように、スイートベルモットも赤と白で区別されることがあります。ベースに使用しているワインの違いだと考えてしまうところですが、流通されている殆どのスイートベルモットは赤も白も「白ワイン」からつくられています!(赤ワインやロゼワインを使う生産者も存在します。)
では、あの赤色はどこから?と思われることでしょう。
答えは「焦がした砂糖」です。スイートベルモットをつくる際に砂糖を加える工程があります。ベルモット赤には砂糖に加えて焦がした砂糖も入れることにより、あの綺麗な琥珀色とビター感が生まれます。
ここで一つ疑問が生まれます。
白ワインをベースにしてつくられたベルモットに、なぜ赤ワインを使用せずに焦がした砂糖で着色するのか?
それはベルモットが有名になるにつれて、国外に輸出されていき、当時ベルモットを大きく占めていたアメリカの市場で白いベルモットのみならず「赤い」ベルモットも欲しいと要望が募り、ベルモット赤が誕生しました。ベルモットが放つ独特で妖艶な香りからLadies’ delight(女性の喜び)と言われる程になりました。ロヴェロ家のベルモットも両方白ワインをベースにしており、赤は伝統に倣い焦がした砂糖を使用しており、ベルモット白とはまた違った芳醇な香りとビターな味わいに仕上がっています。

<ベルモットで使う材料について>

「ベルモット ディ トリノ」の特長を表すために守るべきルールがあります。
その中でも特徴的なものは「ピエモンテ産のワインを50%以上使用」することです。ロヴェロ家のベルモットは自社の敷地内で栽培・醸造されたオーガニックの白ワイン(リースリング イタリコ)を使用しています。更にハーブやスパイスもピエモンテ州で栽培されたもの限定で、使用量の上限が定められています。ロヴェロ家のベルモットには20種類以上の材料が使われており、香る風味、感じる味わいはどちらも複雑性に富んでいます。余韻がとても長いので、ぜひ数多くの香りと味わいを堪能してください。

<ベルモットの楽しみ方>

ベルモットはよく冷やして食前酒として飲まれます。もちろん食中酒、または食後酒として飲むことも出来ますが、イタリアやフランスでは食前酒として大変親しまれています。ベルモットをストレートに楽しみたい方にお勧めです。
その他にもカクテルの材料としてよく使われています。
ベルモット白の特徴は無限に広がる濃厚なハーブと果実香。甘さもしっかりと伝わり、ベルモット赤よりもまろやかに感じます。その直に伝わる魅力的な味わいをストレートに楽しんでいただくのがお勧めです。だからこそこの「ベルモット ディ トリノ 白」を若干多めに使った「スイートマティーニ」で楽しみたいところです。
「ベルモット ディ トリノ 赤」は白と雰囲気は似ていますが、ビター感と香ばしさがより増します。ハーブやスパイスの香りが際立っているので、ジンやカンパリなどと合わせて「ネグローニ」を作ってみるのもお勧めです。