フランス最新情報 その3「ボワザール家」(2025.06.20)

MAVIE特約店各位

いつもご利用いただきありがとうございます。

6月2日(月)にフランス・ロワール地方のオーガニックワイン生産者「ボワザール家」を訪問いたしました。

現地の最新情報をご案内いたします。

<序章>

昨日はアンジェで1泊したので、ボワザール家まではAngers Saint-Laud駅から最寄りのPort Boulet駅まで在来線で移動しました。生産者さんとのやり取りはもっぱらWhatsApp。

電車に乗ってからファビアンに「無事に乗車しました」とメッセージを送ると、「何時に着くんだっけ?」と冷や汗もののメッセージが・・・

もうすぐ着くけどどうしよう。。。と思っていたところ、無事にファビアンが駅まで迎えに来てくれました。

(他の生産者さんで約束を忘れてはいなかったけれど、駅で1時間待ったことがあったので・・・)

ワイナリーについて

~ワイナリーのシンボルはローマ神話に出てくるお酒の神様「バッカス」~

ぶどう畑について

1996年に両親が3haの畑を購入し、兄のシリルが初めてワインを仕込んだのが1999年。
1998年から2003年にかけてワイン農家を引退する方からサンニコラドブルグイユの畑を5ha買い足す。この期間に弟のファビアンがぶどうの樹を植え替え始める。

2007年にBrain sur Allonnesに7haの畑を購入し、7種類の異なる品種を植樹。

<7種のぶどう品種>*すべてVin de FRANCEの格付でブラン ド フォリーシリーズに使用

  • sauvignon blanc(ソーヴィニヨンブラン)
  • cabernet sauvignon(カベルネソーヴィニヨン)
  • chenin(シュナン)
  • grolleau noir(グロロー ノワール)
  • grolleau gris(グロロー グリ)
  • meslier Saint-Francois(メリエ サン フランソワ)
  • menu pineau(ムニュ ピノー)
  • pineau d’aunis(ピノー ダニス)→黒コショウの香りを持つこの地域で特徴的な品種


こちらの畑では羊を放牧しており、生態系の調和を大切にしています。

「羊を放牧していて、ほかの動物に食べられたりしないの?」と聞いてみたところ、子羊をきつねに食べられたことがあったそうです。通常は群れて寝てるので、あまり被害はないということでした。

品種を選んだ基準は、アルコール度数が低めで病気に強いということでした。
現在、トータルで15haの畑を持っています。

従業員について

兄のシリルと弟のファビアン、4名の従業員でワイナリーを運営しています。

従業員のうち2人は70%勤務、残りの2人は50%勤務。

他のワイナリーは働き手を見つけるのが大変で、東欧からの季節労働者を雇っているとのこと。

自分のところはそうではなく、全員社員で回しているといっていました。シリルが畑とカーブを担当しており、ファビアンはすべてを担っています。

畑の見学

ワイナリーに着いてすぐに畑を案内していただきました。

(1)樹齢2年のカベルネフランの畑

畝と畝の間には、お花と穀物を混ぜた種を撒きます。

こちらの畑はまだ若いので、養分が取られないように根元に生えた雑草は刈るようにしています。

ベト病対策として、ボルドー液を撒いたばかりでした。

撒いた量は3kg/haと、必要最低限のとても少ない量しか撒きません。

(2)樹齢10年のカベルネフランの畑

AOCの規定がグイヨ サンプルでぶどうの樹を仕立てるのが決まりとなっています。

ちょうど開花のシーズンでした!今年の開花は2週間も早いそうです。

(3)樹齢60年のカベルネフランの畑

できる限り古い樹を残すようにしていますが、暑さでダメになってしまう樹もあるため、毎年少しずつ新しい樹に植え替えています。

まるで洞窟のような天然のセラー

~突然出てきた扉~

~ファビアンが鍵を開けてくれます~

入口は狭いですが、入ってみると中々の広さに驚きます。

家を建てるために石灰岩を掘り出した後の空間で、なんと150年前からセラーとして使われていた場所だそうです。

年間を通じて温度が8~13℃で、ワインにとっては理想的な環境です。

天井をよく見ると、伸びたぶどうの根を確認することができます!

固い石の中まで入り込むぶどうの生命力に驚くばかりです。

~動画:樽の中で発酵中の白ワイン~

*途中でピンボケします。(すみません)

涼しいセラーの中はゆっくりと白ワインを発酵させるのに理想的な環境なので、こちらで約1年間かけて発酵させます。

ファビアン曰く、樽を使うのは香りを付けるためでなく、発酵のために使うとのことです。

木を通して空気の出入りがあるのが良いそうです。こちらの樽に入っているのは、2024年に収穫したシュナンです。

白ワインの醸造所

続いて、白ワインの醸造所に案内していただきました。

こちらも地下は天然のセラーとなっていました。現在は地下部分を使用していないそうですが、冷たい空気を利用するため、床の一部が開いていました。

卵型の発酵容器やイタリア産の陶器ジャーなどが置いてありました。

~除梗の機械~

ぶどうの粒が白い網を通って出てくる仕組みになっています。

~収穫の容器~

小さな容器に20kgまでしか入れません。ぶどうが潰れないように丁寧に扱います。

赤ワインの醸造所

新しくつくった醸造所で、壁はパイン材を使用しています。

空調なしで11~21℃を保つことができる理想的な醸造所です。

*赤ワインの場合、発酵がうまく進むように20℃は欲しいとのことでした。

コンクリートタンク、グラスファイバータンク、ステンレスタンク、大樽とバラエティ豊かな容器が並びます。

マヴィ未輸入商品をテイスティング

(1)ブラン ド フォリー ペティヨン 2023

シュナン95%にメリエ サン フランソワを5%ブレンドしたスパークリングワインです。

メリエ サン フランソワはフランス全土で30haしか栽培されていないレア品種です。

*ぶどうの使用割合が5%以下の場合は品種名を記載することができないので、現地裏ラベルにはCheninの表記しかありません。

ブリュット ナチュールで仕上げています。

*ブリュット ナチュール:瓶詰後に門出のリキュールを添加しない

爽やかな酸味とフレッシュな果実味で、グビグビ飲んでしまう仕上がりです。

シュナンのスパークリングワインはあまり造られていないので、人気があるとのことでした。

(2)ブラン ド フォリー 白 2024

ブラン ド フォリーシリーズの白ワインとして15年前から造っている白ワインです。

ソーヴィニヨンブラン70%、グロロー グリ30%、ムニュ ピノ5%ぐらい

白いプラスティック製の容器で発酵させ、そのまま滓と一緒に4ヶ月間熟成させます。

グロロー グリはアロマティックな品種で、ハーブ感のあるソーヴィニヨンブランとのバランスが心地よい、とても飲みやすい白ワインです。

(3)ブラン ド フォリー シュナン 2024

シュナン100%の白ワインです。

陶器のジャーで発酵させ、滓と一緒にそのまま6ヵ月間熟成させます。

シュナンのふくよかさの中にミネラル感と少し白コショウのニュアンスを感じる仕上がりです。

(4)ブラン ド フォリー シュナン 2023(樽仕込み)

天然のセラーで樽を使って1年間発酵&熟成させた、シュナン100%の白ワインです。

熟成後に陶器のジャーに入れて3ヶ月保存します。

こうすることによって、瓶詰前に味が落ち着きます。

しっかりとした酸味にほど良い樽の香りが合わさり、ボリュームのある仕上がりです。

ファビアン曰く、ソースを添えた白身魚や鶏肉の料理がお勧めとのことです。

(5)ブラン ド フォリー ピノ ダニス 2024

ピノ ダニス100%の赤ワインです。

ピノ ダニスは一度廃れた品種でしたが、15年位前からその良さが再確認されている品種です。

全房を7日間醸してから発酵させます。

TOPに黒コショウの香りがしますが、味わいはフルーティです。

後口に突然タンニンを感じます。

そのことをファビアンに告げると、「ボリューム感はないのに、最後にタンニンが突然やってくるのが特徴なんだよ!」と教えてくれました。

〇シュナンの収穫時期について

1回目はスパークリングワイン用、2回目は約10日後にブラン ド フォリー 用に、3回目は樽で仕込む白ワイン用に収穫するそうです。

(6)ブラン ド フォリー ジュース 2024

探し求めていたオーガニックぶどうのジュースがありました!

グロロー ノワール100%の無濾過のジュースです。

ファビアン曰く、グロロー ノワールは甘すぎない品種なのでジュースにしてみたとのこと。

9月に収穫したぶどうを醸造所で搾汁し、近くの殺菌できる施設までもっていき、ボトリング&加熱殺菌するそうです。

賞味期限は製造から3年。

容量は750mlと1000mlがあります。

2025年を特別に作っていただけることになりました。

どちらの容量が良いかみなさまにアンケートを取りたいと思いますので、ぜひご協力をお願いいたします!

〇ラベルデザインについて

ボワザール家のPOPなラベルは、いとこのイラストレーター Mathieu(マチュー)が担当しています。バッカスや鳥をモチーフにしたビビットで可愛らしいラベルはフランス国内でも人気があるとのこと。

ビオディナミについて

ボワザール家はビオディナミ農法を実践しています。*認証は未取得

ビオディナミ農法は、かの有名なロマネ コンティやルロワなども実践しているかなりマニアックな農法です。

ごくごく普通のフランス人にこの話しをすると、「黒魔術的な手法だよね」と言われます。

ボワザール家は地域のオーガニックワイン農家10軒と協力して、一緒にプレパラシオン(調合剤)を作っているそうです。

こちらの写真にある牛の角は、プレパラシオン500に使っていたものです。

プレパラシオン500は、雌牛の角に牛糞を詰めた状態で地中に埋め、春に掘り起こして使います。

10軒の農家分(畑の面積にすると150ha)をまかなうのに、なんと400個の角が必要とのことです。

ビオディナミに関しては、ファビアンが説明してくれた動画を撮影したので別の機会にご紹介いたします。

ご興味のある商品やご質問などございましたら、お気軽に羽鳥までご連絡ください。

マヴィ 羽鳥