フランス最新情報 その2「ショヴァン家」(2025.06.18)

MAVIE特約店各位

いつもご利用いただき誠にありがとうございます。

6月1日にフランス・ロワール地方のショヴァン家を訪問いたしました。現地の情報をご案内いたします。

<序章>

前日の5月31日にサッカー・UEFAチャンピョンズリーグ決勝戦でパリ・サンジェルマンが優勝!

日本のテレビでもその様子が報道されていたかと思いますが、その日は全パリ市民がテレビを観ているのでは?という位の騒々しさでした。

翌日にシャンゼリゼでパレードがあったようで、シャンゼリゼ付近の駅は警備上の理由で停車せずに通過となっておりました。

パリのマダムに「地下鉄で絶対に携帯を出してはならぬ!」とのアドバイスをいただいたのでドキドキしながらメトロでパリ・モンパルナス駅まで向かいました。

*現地の方でもメトロ乗車中はバックの中で携帯が見えないようにして検索するらしいです。

さて、パリからロワール地方までの移動はTGVを使います。TGVは予約が必要な高速列車で、日本に例えると新幹線でしょうか。

直前までホームがわからないため、みな電光掲示板を凝視し、ホームが決まると列車目指して移動が始まります。

オーガニックワインを取り揃えたカーブがあるレストラン

ショヴァンさんから、「お昼前に着くならば一緒にランチはどうですか?」という嬉しいお誘いを受けたので、到着後すぐにレストランがあるBRISAC村まで移動。

~食前酒に良く冷えたアンジュー白を~

ショヴァンさんが案内してくれたレストランL’ARDOISEは、地元のオーガニック食材を使ったレストランでした。ワインの種類はなんと、300種類!もちろん、ショヴァンさんのワインも並んでいます。

~アヒルのグリル・ポレンタ添え~アンジュー赤と一緒に

畑の見学

~ショヴァン家の醸造所と畑がある所をペンで指してもらう~

美味しいランチをいただいた後にショヴァンさんの車で移動し、下記の順番で畑を見せていただきました。ショヴァンさんは、醸造所を中心に半径1~1.5kmの範囲に合計7haの畑を持っています。

  • シュナン ブラン:5ha
  • カベルネ フラン:1.5ha
  • グロロー:0.5ha

ショヴァンさんはこの地域に昔からあったシュナンという品種をとても大切に思っています。

もともとコトー ド レイヨンには1950年代まではシュナンしかありませんでした。甘口ワインの産地として有名でしたが、甘口ワインの需要が徐々に減ったため、辛口ワインを多く造るようになりました。

その後少しずつ赤ワインの品種も植えられるようになったとのこと。ショヴァン家では1970年代、はじめて現当主ポール=エリックの父がグロローとカベルネフランを植えました。

(1)樹齢15年のシュナンの畑

ちょうど開花が始まっていました。開花から100日後を目安に収穫するそうです。

開花の時期は短い方が理想的で、長くなると実にバラつきが生じたりするので、あまり良くないようです。

シュナンの葉は葉脈が少し赤いのが特徴です。

(2)樹齢15年のグロローの畑

グロローは病気に強く、生産性のある品種です。

1960年代から70年代に流行りましたが、そのあと廃れてしまったそうで、今日その良さが見直されている品種とのこと。実が長く、たくさん生るそうです。

タンニンはあまりなく、大きな葉が特徴です。

ショヴァンさんによると、他の地域ではあまり栽培されていないとのこと。

(3)樹齢45年のカベルネフランの畑

こちらも順調に花が咲いていました。

古い樹についた大きなカタツムリを発見!

「取らなくて大丈夫ですか?」と聞いたところ、若芽の時期は葉を食べてしまうので気を付けているそうですが、葉が大きくなった後は食べ尽くされる心配はないのでそのままにしているそうです。

(4)カベルネソーヴィニヨンの畑

カベルネフランと比べると生育が遅いです。(まだ花は咲いていませんでした)

ロゼワインのブレンド用として少しだけ栽培しています。他の品種と比べると葉が小さいですね。

(5)樹齢54年のシュナンの畑

古い樹は出来る実の数は少ないのですが、それでしか表現できない味わいがあるとのこと。

こちらのシュナンは、AOCコトードレイヨン ヴィエイユヴィーニュ(甘口)に使っているそうです。

ヴィンテージについて聞いてみた

最近の気候変動について

10~15年前から昔よりも早く収穫するようになった。昔は9月初めに収穫を開始していた。

2022年

異常に暑かった年。最高気温が35~36℃まで上がった。

2023年

自分にとっては良い年だが、収穫の前に雨が沢山降って、選果が大変だった。暑すぎる状態で雨が降ると小さな虫がぶどうの果皮を刺して、その実は酢になってしまう。

2024年

雨が多く、難しかった年。日照時間が少なかったので、収穫も遅くなった。収穫時期は9月末から10月上旬。

2025年

開花がいつもより早い。開花は1週間くらいでサーっと一気に終わるのが理想的。今のところ、ベト病とうどんこ病の心配はなさそう。良いヴィンテージになりそうな予感。

醸造や栽培について

ろ過について

  • 白ワイン:2022年と2023年は無濾過
  • 甘口白ワイン:再発酵防止のためろ過を行う
  • 赤ワイン:無濾過

無濾過の理由は、ワインをタンク内で熟成させる際に自然と澱が下りてくるので、ろ過する必要はないと考えている。

酵母について

培養酵母は決して使わない。野生酵母で自然に発酵させた方が、ワインの味わいを表現できると信じている。

現在の農作業について

先週(2025年5月第3週)に開花時のベト病対策として硫黄とボルドー液を散布した。オーガニック農業は病気が蔓延する前に対策を取ることがとても大切。

オーガニックや最近の傾向について

ショヴァン家は2005年からオーガニック農業に取り組んでいます。

この地域は1軒を除いてみんなオーガニックとのこと。最近は家族が引き継ぐというよりも、全く農家ではなかった人がワイン造りを始めることが多いようです。

ロワールではぶどう畑がそんなに高くないので、始めるのが簡単とのこと。ボルドーも有名なアペラシオンを除いては安いようです。

ボルドーに関しては、コロナ後に赤ワインの消費が減ったため、赤ワインが余ってしまって大変らしいとおっしゃっていました。

フランスでもここ30年から40年かけてワインの消費が徐々に減っているようです。

若い人は大手がコマーシャルを流すから、ビールや蒸留酒などのニュージャンルのお酒を飲むようになってきており、毎食ワインを飲む人が減っているとのこと。

週末など人が集まるときにワインを飲むことが多いそうです。

オーガニック農業に関しては、2010年から2020年にかけて政府の手厚い支援があったためオーガニックワイン農家が増えましたが、現在は政府の支援が以前に比べると少なくなったので、そんなに増えていないとおっしゃっていました。

特別なワイン

黄金色に輝くワイン。

ソーテルヌのように貴腐菌が付いたぶどうで造った甘口ワインで、良年だった2018年に樹齢54年のシュナンから造った特別なキュヴェです。

樽で2年半熟成させており、あと10~20年は熟成可能なポテンシャルを秘めたワインです。ショヴァンさんも「もう二度と造ることはできないと思う」とおっしゃっておりました。

マヴィではお取り扱いがない商品ですが、ご興味がある方は羽鳥までご連絡ください。

今回撮影した画像

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マヴィ羽鳥