カイロル(樽熟)赤 入荷のお知らせ(2022.06.29)

MAVIE特約店各位

平素より格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

フランス・ラングドック地方で古代製法を守り続けるベリュウ家より「カイロル赤」の樽熟版が届きました。古樽で12ヶ月間熟成させております。

2019年は収穫量が多く、カイロルはタンク熟成のものと樽熟成の2バージョンが製造されました。1回目の入荷はタンク熟成が届きましたが、今回は樽熟成が届きました。

ブレンドはタンク仕込みと同じくメルロー50%にカベルネソーヴィニヨン50%で、ヴィンテージも2019年となります。*二酸化硫黄無添加、無濾過です。

【田村の見解】
ご存じの通り、樽熟成とタンク熟成は性格がまるで異なります。酸素の透過がないタンクの場合は還元状態となり、わずかに酸素を透過させる樽の場合は酸化状態です。一長一短がありますが、私の経験では還元の場合は獣臭など強い香りが付きやすく肉食の欧米人好み、古樽の場合は香りが程よくまとまり、またボトルの中でも安定して熟成します。

自然児のベリューさんが2019年に何故この2種類を作り分けたかは謎ですが、最初の注文には早く仕上がった「タンク」を出荷してきたのではないかと思います。まさか市場でもてはやされる自然派に特徴的な野性的な不安定な危うさを狙ったものではないと思いますが、実験的な造りだったのでしょう。

ボトルごとに綺麗に仕上がっているものと、そうでないものの差が激しく、「SO2フリーでも、マニア以外のお客様に満足していただけるワインでなければならない」という、私のポリシーにはそぐわなかったため、ベリューさんには今後はこれまで通り「樽熟成」のみを出荷してくれるように強く要請しました。

<樽を見つめるベリュウさん>
<左:タンク熟成の裏ラベル/右:古樽12ヶ月熟成の裏ラベル>

■塩澤 悠のテイスティングコメント

【生命を感じるオーガニックワイン】

グラスに注ぐと、濃い色合いのワインから心躍るようなベリーのアロマが立ち上がります。
イチゴ、木苺、ブルーベリーにカシスなど生き生きしたベリー系の香りから、醸造中のカーヴで感じるようなバナナやメロンなどの香りもあり、フレッシュなイメージが強く残ります。

時間と共にブラックチェリー、カシス、プルーンなど濃厚さを感じる香りも現れ、ワインの生命力を感じます。

口に含むと柔らかく、滑らかな口当たりです。
同じヴィンテージでタンクで熟成させたものと比べると、さらに優しい口当たりです。
最初に感じた控えめな酸味は、次第に存在感を増してゆきます。
しっかりとした果実の味わいに、ソフトでありながらも存在感のあるタンニン、そして樽熟成による丸みのある口当たりが綺麗に調和します。
わずか数秒の間に、口内で変化する味わいを感じていただけることでしょう。

ボリューミーな味わいのワインが喉を通った後には、果実の香りと若干の樽香が再度感じられ、心地よい複雑味も楽しめます。

可愛らしいアロマから、ラベルに描かれた熊のような力強い味わいへの変化はお見事。

二酸化硫黄無添加のため、大変デリケートなワインです。
抜栓後も時間と共に変化していく味わいを、自然そのままの恵みを感じながらお楽しみください。

■販売時のご注意点

  • カイロルの特性をご理解いただけるお客様にご紹介ください。
  • 大変デリケートな商品ですので、徹底した温度管理をお願いいたします。
  • お買い上げ後はご自宅のセラーか冷蔵庫(野菜室)で少なくとも2~3日休ませてからお楽しみください。
  • ボトルによっては若干の発泡性が感じられる場合もございます。時間が経つと消えますので、気になる場合はカラフに入れてからお飲みください。
  • 二酸化硫黄無添加ワインの特性上、瓶詰め後の熟成が1本1本異なります。
  • 4~5年は熟成可能なポテンシャルのあるワインです。
  • ギフトの場合は受け取られた方がご理解いただけないことがありますので、お薦めされないようにお願いいたします。
  • 明らかにブショネの場合は返金対応いたします。